2017年08月26日

The Danish girl 〜アイデンティティー・クライシス


LGBT問題を描いた『The Danish girl』を観ました!


The Danish girl(UK USA,2015年)
邦題『リリーのすべて』




〜あらすじ
時は1920年代、デンマークの首都コペンハーゲンで、画家の
ゲルタは夫のアイナーと仲睦まじく暮らしていました。
ある日遊び半分で、ゲルタはアイナーを女装させてパーティーに
連れて行きます。その後アイナーは自分の中の女性性に、
目覚めてしまうのですが…

感想(※ネタバレがあります)

まず冒頭にこの夫婦が二人で笑い合い、とても仲が良いシーンがあります。
ゲルタは画商に自分の絵を持っていくのですが、君に良い主題があれば…
と言われて断られてしまうのですね。ここが伏線になります。
次に絵のモデルの友達が来られなくなってしまったので、夫のアイナーに
代役を頼みます。ここでストッキングを履き、ドレスを抱きしめたアイナーは、
自分の中に眠っていた本能に気づいてしまうのです。

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美しく着飾ったアイナーは自分をリリーと呼び、パーティーで
男性と話しているところを見たゲルダは困惑します。

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その後、もう女装は止めるようにゲルダはアイナーに告げます。
”I was Lily!”と言い返すアイナーですが、ゲルダは
”Lily does not exist!”とピシャリ。
その時のアイナーの表情!

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目に涙をいっぱいに溜めた、こんな辛い顔!

もうエディ・レッドメンの演技上手すぎ!!


しかし自分の中身が女性と知ってしまったアイナーは
もう自分に嘘がつけず、周囲に本心を打ち明けるのですが
「貴方は病気だ、医者に診てもらおう」と病院に連れていかれるのです。

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ギャー!!

ここで怖いのは妻のゲルダも周りの人間も医師も、アイナーのために善意で
彼を治そうとしているのです。この時代の人間はいかに性に対して固定観念が
あったか分かります。

しかし病気ではなく、本当に女性リリーとして生きたいと願うアイナーの
気持ちをゲルダはとうとう受け入れることにするのです。

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それは同時にゲルダにとって愛する夫アイナーを失うことを意味します。
ゲルダは彼の幸せを望みながらも、心に大きな葛藤を抱えることになりますが、
母のように献身的な愛で、彼を支え続けるのです。

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アイナーは女性リリーとして、デパートの香水売り場で働くことになり
やっと自分らしく生きられる場所を見つけます。

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アイナーは世界で初めて性転換手術を受け、めでたく身も心も女性のリリーと
して生きることになったのですが、2度目の手術で容態が悪化します。

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死ぬ間際に、これでやっとリリーになれた…とリリーは
満足して息を引き取ります。

ラストはゲルダとリリーの絆だったスカーフが風に吹かれて舞い上がり、
空を飛んでいくのを見たゲルダは、リリーの魂が自由になったことを
喜ぶのでした。

はっきり言って自分はトランスジェンダー問題に深い興味が
ありませんでしたし、この映画を観たのも軽い気持ちからでした。
この映画はLGBTに限定されるものでなく、一人の人間が
自分のアイデンティティーを獲得するまでの長い闘いのドラマ
だったのです。
私たちは性別に限らず、社会で自分を様々なステレオタイプに
カテゴライズされて、本当に自分の欲求や自分のなりたい姿に
忠実に生きようとすることを否定され、止められてしまいます。
自分語りになりますが、私もさんざんオタクと馬鹿にされ、
もっと社交的で明朗快活な女性になれと周囲に強要されてきました。
そこでついに「もうオタクでいいや!プロになってやる!」
と私は開き直ったのです。
リリーは残念ながら亡くなってしまいましたが、リリーの勇気ある
行動は次世代に繋がり、今では先進国ではトランスジェンダーが
珍しくなくなりました。
やっぱり一回だけの人生、自分のやりたいことをやって
壁を打ち破らなくてはいけないと思わされましたね…。

ゲルダの無償の愛は本当に泣けます。
リリーには幸せになって欲しかったよ…。

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その時代のファッションやインテリアも豪華で美しく、
芸術作品としても素晴らしい映画と思いましたね。
posted by yuki at 16:33| Comment(4) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
雪さん、こんばんは!またまた詳しい感想興味深く読ませていただきました。Eddieは『博士と彼女のセオリー』のときから思ってましたけど、ほんとに俳優さんになるために生まれてきたような人ですね。。(高学歴だし他でも絶対やっていけたでしょうけど)

ほんとに、手術なんて一般的になってるものでさえ怖いのに、世界初のものを受けようとする勇気はすごすぎです。ゲルダとアイナーは夫婦をこえた絆があって素敵だなと思いましたし、性の問題だけでなく人としてのアイデンティティについて訴えてくる作品ですよね。映画館で観客がみんなすすり泣いていたのを今思い出しました。。
Posted by UK at 2017年08月26日 19:18
UKさん、コメントありがとうございます。

>雪さん、こんばんは!またまた詳しい感想興味深く読ませていただきました。Eddieは『博士と彼女のセオリー』のときから思ってましたけど、ほんとに俳優さんになるために生まれてきたような人ですね。。(高学歴だし他でも絶対やっていけたでしょうけど)

彼は顔がお貴族風だな〜と思って調べたら、普通にいいところの
お坊ちゃんでした。それらしい純粋な邪気の無い匂いがしますね。
この映画を観た後でインタビューを聞いたら「企画から15年で
やっと映画化されて自分が演じることが出来たのはギフトだ」
と言ってましたね。

>ほんとに、手術なんて一般的になってるものでさえ怖いのに、
世界初のものを受けようとする勇気はすごすぎです。

そうですよね…見てる最中に「死ぬかもしれないのに大丈夫かな」
と思っていたら、本当に死んでしまって(涙)

>ゲルダとアイナーは夫婦をこえた絆があって素敵だなと思いましたし
、性の問題だけでなく人としてのアイデンティティについて訴えてくる
作品ですよね。映画館で観客がみんなすすり泣いていたのを今思い出しました。。

「血の匂いのしない映画で綺麗すぎる」という評論家もいますが
この映画の世界観は愛だからこれでいいんじゃないかと思います。
皆自分らしく生きられる社会になって欲しいですね〜。
私も観た後、なかなかショックが取れなかったですね。
Posted by 雪 at 2017年08月26日 20:53
雪さんを馬鹿にした人達はよっぽど才能を観る能力が欠如していたのでしょうね(--;)
開き直って良かったです♪
何人も、万人に受け入れられることが不可能である事実がある以上、批判する輩も出て来ることは必然ですが、雪さんには才能があるので今後も負けないで下さいね!!
Posted by ねずみ at 2017年08月29日 06:15
ねずみさん、コメントありがとうございます。
>
>雪さんを馬鹿にした人達はよっぽど才能を観る能力が欠如していたのでしょうね(--;)

いやー若い時って才能云々より、顔が可愛いとか遊んで楽しいとか
そういうことが評価されますから仕方ないと思いますよ。

>開き直って良かったです♪
>何人も、万人に受け入れられることが不可能である事実がある以上、
批判する輩も出て来ることは必然ですが、雪さんには才能があるので
今後も負けないで下さいね!!

はい、もう開き直ってバンバン書いてます。ただ自分で満足
いくところまで行けるかどうかですね。
本当にいつも応援ありがとうございます。励みになります。
Posted by 雪 at 2017年08月29日 11:02
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