2017年08月27日

Underground〜渾沌(カオス)の世界


最近映画ばっかり紹介して、読者さんにプレッシャーを
かけているような気がしないでもないですが…(^-^;

今日ご紹介する映画は、『死ぬ前に観ておけ』リストに
入ると思う名作!

1995年、カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作です。

UNDERGROUND
(ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、
ブルガリア合作 1995年)




〜あらすじ
第二次世界大戦中のベオグラード、ナチスの爆撃を受け
街は酷い惨状になります。マルコは友人クロと仲間たちを地下に
かくまい、そこで生活しながら武器を密造させることにします。
マルコは武器商人として巨万の富を築きながら、一方で仲間には
「まだナチス占領が続いている、外に出るのは危険だ」と嘘をついて
戦争が終結したことを知らせないままにしました。
冷戦時代に入り、新政権の下マルコは大統領の側近としてのし上がります。
何も知らない仲間は地下で暮らし続けることになるのですが…。

第二次世界大戦から冷戦、ユーゴ内戦、ユーゴ・スラヴィアの
終焉までの50年をユーモラス寓話的で寓話的に描いた作品です。
と言っても、映画内ではプロットのようなものはありません。
全編に賑やかなトランペットの音が鳴り響き、登場人物は
銃を撃ちまくり踊りまくり、喧騒と狂気のカオスです。
2時間50分と長い映画ですが、退屈せずに観られると思います。

監督のエミール・クリストリッツァはボスニア紛争勃発で
「この映画を作らなくてはならない!」と強い使命を持って
制作したそうです。
その情熱が映画の隅々まで感じることが出来ます!
(本当にこんな映画よく撮れたね…どれだけお金かかったのかしら…)

日本は過去に一度も外国の占領下になったことはなく、独自の言語も
文化もそのまま残っていますが、世界にはこのように消えていった国も
数多くあります。そのことを考慮すると、私は日本文化をもっと大切に
しなくてはならないと思うのでした。

とにかく観るべし!

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飼育係とオランウータンの絆に泣けます…。
posted by yuki at 09:59| Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月26日

The Danish girl 〜アイデンティティー・クライシス


LGBT問題を描いた『The Danish girl』を観ました!


The Danish girl(UK USA,2015年)
邦題『リリーのすべて』




〜あらすじ
時は1920年代、デンマークの首都コペンハーゲンで、画家の
ゲルタは夫のアイナーと仲睦まじく暮らしていました。
ある日遊び半分で、ゲルタはアイナーを女装させてパーティーに
連れて行きます。その後アイナーは自分の中の女性性に、
目覚めてしまうのですが…

感想(※ネタバレがあります)

まず冒頭にこの夫婦が二人で笑い合い、とても仲が良いシーンがあります。
ゲルタは画商に自分の絵を持っていくのですが、君に良い主題があれば…
と言われて断られてしまうのですね。ここが伏線になります。
次に絵のモデルの友達が来られなくなってしまったので、夫のアイナーに
代役を頼みます。ここでストッキングを履き、ドレスを抱きしめたアイナーは、
自分の中に眠っていた本能に気づいてしまうのです。

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美しく着飾ったアイナーは自分をリリーと呼び、パーティーで
男性と話しているところを見たゲルダは困惑します。

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その後、もう女装は止めるようにゲルダはアイナーに告げます。
”I was Lily!”と言い返すアイナーですが、ゲルダは
”Lily does not exist!”とピシャリ。
その時のアイナーの表情!

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目に涙をいっぱいに溜めた、こんな辛い顔!

もうエディ・レッドメンの演技上手すぎ!!


しかし自分の中身が女性と知ってしまったアイナーは
もう自分に嘘がつけず、周囲に本心を打ち明けるのですが
「貴方は病気だ、医者に診てもらおう」と病院に連れていかれるのです。

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ギャー!!

ここで怖いのは妻のゲルダも周りの人間も医師も、アイナーのために善意で
彼を治そうとしているのです。この時代の人間はいかに性に対して固定観念が
あったか分かります。

しかし病気ではなく、本当に女性リリーとして生きたいと願うアイナーの
気持ちをゲルダはとうとう受け入れることにするのです。

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それは同時にゲルダにとって愛する夫アイナーを失うことを意味します。
ゲルダは彼の幸せを望みながらも、心に大きな葛藤を抱えることになりますが、
母のように献身的な愛で、彼を支え続けるのです。

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アイナーは女性リリーとして、デパートの香水売り場で働くことになり
やっと自分らしく生きられる場所を見つけます。

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アイナーは世界で初めて性転換手術を受け、めでたく身も心も女性のリリーと
して生きることになったのですが、2度目の手術で容態が悪化します。

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死ぬ間際に、これでやっとリリーになれた…とリリーは
満足して息を引き取ります。

ラストはゲルダとリリーの絆だったスカーフが風に吹かれて舞い上がり、
空を飛んでいくのを見たゲルダは、リリーの魂が自由になったことを
喜ぶのでした。

はっきり言って自分はトランスジェンダー問題に深い興味が
ありませんでしたし、この映画を観たのも軽い気持ちからでした。
この映画はLGBTに限定されるものでなく、一人の人間が
自分のアイデンティティーを獲得するまでの長い闘いのドラマ
だったのです。
私たちは性別に限らず、社会で自分を様々なステレオタイプに
カテゴライズされて、本当に自分の欲求や自分のなりたい姿に
忠実に生きようとすることを否定され、止められてしまいます。
自分語りになりますが、私もさんざんオタクと馬鹿にされ、
もっと社交的で明朗快活な女性になれと周囲に強要されてきました。
そこでついに「もうオタクでいいや!プロになってやる!」
と私は開き直ったのです。
リリーは残念ながら亡くなってしまいましたが、リリーの勇気ある
行動は次世代に繋がり、今では先進国ではトランスジェンダーが
珍しくなくなりました。
やっぱり一回だけの人生、自分のやりたいことをやって
壁を打ち破らなくてはいけないと思わされましたね…。

ゲルダの無償の愛は本当に泣けます。
リリーには幸せになって欲しかったよ…。

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その時代のファッションやインテリアも豪華で美しく、
芸術作品としても素晴らしい映画と思いましたね。
posted by yuki at 16:33| Comment(4) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月24日

Populaire観ました♪


いつも人に薦めてばかりなので、自分も観なくてはと
ようやくUKさんのおススメ『Populaire』(邦題『タイピスト』を観ました!)



〜あらすじ
1950年代のフランス、雑貨店の田舎娘ローズは
保険会社の秘書に採用されます。
何をやってもドジっ子なローズでしたが、
タイプを打つ時の集中力はすごいのを見抜いた上司ルイは
ローズをタイプ早打ち大会に出場させるのでした。

展開がゆっくりしているのとストーリーが分かり易いので
演出に目を向けることが出来ました。
まずオープニングシーン、缶詰やら並んでいる雑貨店の
台の上に最新のタイプライターを置いて
一本指で自分の名前を打ち、感激します。
これで彼女は初心者ということが分かります。
次に保険会社の面接でも、周囲は皆、職業婦人らしくスーツ姿なのに
ローズは一人ワンピース。
初参加の早打ち大会はあえなく敗れ、ルイが早打ちの特訓のために
小説の文章を打つように本を持ってくるのですが
それがラフィエット夫人の『クレーヴの奥方』フォローベルの
『ボヴァリー夫人』などです。
これが古典と最新のタイプライターの対比になっています。

他にも特訓中にタイプのキーの色とローズのマニキュアの色が
同じだったり、上達して紙が宙に舞ったりと、タイプライターと
いう地味な作業を上手く演出していると思います。

その後ルイの婚約者として、ルイの家族に紹介されたローズは
本当にルイと恋仲になります。
(しかしビンタの応酬からキスという流れはよく分からない…。
フランス式の愛情表現なのかしら…?)
そして見事フランスの早打ち大会で優勝し、チャンピオンになったローズは
皮肉にもルイと別れることに。

タイプライターの広告塔になり一躍スターの座に躍り出たローズは
昔はあんなにタバコ嫌いだったのに、紳士に火をつけてもらって、
タバコを吸うようになるなど、ローズの大きな内面の変化が見られます。
ローズの成功のために一旦は身を引いたルイは、自分の臆病さと
向き合い、世界大会に出場したローズに会うためにアメリカに行くことに。
そして二人は復縁し、見事ローズは優勝します。
優勝を逃して悔しいアメリカ人に、ルイの友人が印字ヘッドを球体にする
アイデアを教えます。何故それを我々に?といぶかしがるアメリカ人に
”America is business、French is love”と答えるというオチ。

ベタベタで読めるストーリー展開なんですが、演出とセンスで
映画になるという好例でありました。UKさんどうもありがとう!

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インテリアや洋服はレトロで可愛い!
ローズの着てる服、欲しいって思っちゃいました(笑)。
posted by yuki at 17:49| Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする